第143章 どうして私が赤いお花をつけていないと分かった?

気づいた時には、スマホの中に写真が何枚も増えていた。

長谷川栞は、写真に写る中野航平と蓮――父子の後ろ姿を伏し目がちに見つめる。指先がわずかに動いたが、結局、削除には触れなかった。

……まあ、撮っちゃったんだし。いいか。

校門が開くと、門の前の人波は少しずつ薄れていく。

栞は、もう遠ざかっていく父子を最後に一度だけ見送り、エンジンをかけてバックし、そのまま車を出した。

昼。立て続けに仕事を片づけた栞は、疲れ切って昼食に行く気力すらない。

「コンコン」

ノックの音がした時、彼女はスマホを適当に眺めていた。顔も上げずに言う。

「どうぞ」

この時間なら、たぶん高野咲子が昼に誘いに...

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